ヨー ロッパ旅行珍道中記

No.2−8/10〜8/16: France

6日目 8月 10日 (日) London(England)→Paris(France)−ユーラ シア大陸上陸

 起床は早く。
 男二人でダブルベッドは悪夢のようだった。お互い干渉はしなかったが、狭い。とにかく狭いのだよ!
 それでも僕がギンコを殴ったり、逆にギンコが僕を蹴り落としたり、もしくはギンコがブレーンバスターやったり、エビアン兄さんが「Do you know magic?」とクローゼットの中から出てきたりすることはなく、無事に朝を迎えました。

 で、ここからが問題……ユーロスターの出発は早いのだ。
 そんなわけで即行朝食へ。

 朝食は、卵にベーコン、パン、そしてお好みでコーンフレーク。
 もうこのときには朝食スタイルも慣れていたし、自分で好きな量だけ取ることができたので、噂のイギリス流ブレックファーストに出会うことはありませんで した。
 「地球の歩き方」で、イギリスの朝食の量はヤバイ、という写真を見たときにはもう駄目だと思ったからな……!

 しかし紅茶をゆっくり飲んでいる暇はなく、食後はすぐにチェックアウトしてセント・パンクラス駅に向けて出発。
 タクシーを呼ぶのももったいないし、歩いても15分ほどの距離ということで、早朝のロンドンをカートゴロゴロ音を立てて突進。
 途中、高そうなホテルとかを横目に見ました……ああ、4ツ星ホテルとか、中すごいんだろうなぁ……とか。

 さて、無事駅に到着し、ここから先はポンドが使えないということで小銭は出来る限り使い切るべく水とかガムとか購入。
 いよいよユーロスターに搭乗なのです。
 僕だって男の子! 早い乗り物とかにはわくわくしちゃうんだべさ! とテンションはMAX。

 ユーロスターは……一言で言うと、すごく……長いです……!
 そう、長い。まっすぐ長い。素敵なフォルム。これに乗れる! と思っただけで全身からアドレナリン噴出。
 何せ今までの旅は、せいぜい地下鉄に乗る程度で、大きな鉄道を利用するなんてことはなかったのだ。

 ……このあと、飽きるほど乗ることになるんだけどね。

 まあそれはともかく、いよいよイギリスに別れを告げ、ユーラシア大陸目指して出発。
 積極的に5ポンド(=1000円)のコーヒーなどをスルーして、優雅な旅をしてみたり。目が回るぐらいのスピードだったけど。
 俺……乗り物弱いんだ。

 そんなこんなで、フランスのノルド駅に到着だ!

 
 左に写っているのが、ユーロスター。
 ここからずーっとまっすぐ歩くと、ようやく出入り口である。

 で、フランスに到着して思ったことは……ええ、まず思ったことは……字が読めない。

 一応これでもフランス語は学んだ身なんだ。
 ただ、1年間……正確には単位落としたので1年半しか学んでないわけで、こんにちはさようなら程度の会話しか出来ない程度の能力なんだ。
 そう、フランスは字が読めない。もちろん案内板には英語はあるけれど、それでも聞こえてくる言葉はシャバダバとフランス語!

 イギリス帰るぅー、と呟きながら、とりあえず、「地球の歩き方」に 載っていたホテルを探そう、と不安ながらも駅を出たわけです。

 ホテルは……まあちょっと苦労したけれど、駅から近いところで安い宿を発見。
 「地球の歩き方」によると、日本語を話せるスタッフがいます、とい うことでチェックを入れていたところだったのだが、運よく2泊泊まれることに。やったね!
 ちなみに、部屋はかなりいい部屋。
 イギリスのときよりも広いし、ベッドもちゃんと二つあるし、風呂もあるし、テレビもあるし、駅も近いし、安いし、大満足。
 むしろ、イギリスの105ポンドってなんだったんだろう、と。さすがイギリス、魔の国。

 さて、フランスとイギリスには時差というものがあります。
 隣の国だし、全然変わりなんてないと思うけど、でも1時間の誤差はあるわけで、しかもこれからの旅はほとんどそれに合わせなければならない。
 というわけで、食事だけはしっかりしようと、昼食を取りに駅前へ。

 大きな駅前ということで、レストランはたくさんあるのだけれども、どうしてもチキンな僕らはマクドナルドへ突撃。
 いや、各国のマックの味を知っておきたかったんだ!
 しかし、マックといえどもそこはフランス。いいか、読めないんだ。親切にも中に入っているものは表示されるんだけど。

 pain……パイナップル? いいえ、これはパンのこと。これに関しては、どの商品にも先頭に書いてあるのでわかる。
 poisson……さて、なんのことかわかるかな? これ、魚。ポワソン……的な発音をする。ポイズンではない。毒だ、それは。

 電子辞書は持っていったけれど、あいにくフランス語は入っていない。
 もうね、こうなったら突撃かけるしかないわけで、コーラ、チーズバーガー、ポテト! それで全て通じた。終了。
 まあ、大きな駅前だし、英語が通じないわけはないんだけど。

 ちなみに、僕らの前に並んでいた東洋人(日本人ではない)が、ポテトをビッグサイズにしていたらとんでもないことになっていたので、僕はちゃんとスモー ルにしておいた。
 おそろしい……おそろしいぞ。


 ついでに、ここからの旅は鉄道が主流になるので、ユーレイルグローバルパスという鉄道乗り放題……ってわけではないけれど、ほとんどの鉄道がフリーパス になるという素敵なチケットに、スタンプを押してもらうためもう一度駅に行くことに。
 スタンプを押してもらってから数日間、効果が働くので、早めに押してもらうに越したことはない、と思ったわけだ。

 ええ、どうも乗るときに押せばいい、ということで、30分近く並んだけれど無駄足だ、ということがわかりましたが。


 この一日は、特に何をするでもなく移動で終了。
 翌日からはフランス市内観光ということで、期待に胸を躍らせて……19時就寝。はえーよ!
7日目 8月 11日 (月) Paris−ダヴィンチ・コード

 起床時間は朝6時! 極めて健康的な朝だ!
 あまりに早く起きても仕方がないのだが、洗面したり着替えたりしていたら、ちょうどいい時間になっちゃうんですよね。
 観光においても調べないといけないことはたくさんあるし。

 早速、ホテルの朝食へ。
 朝食はクロワッサンが2つ。なんだかとってもフランスです……。

 そんなことを思っていると、ホテルのおじさんがやってきて、片言の日本語で「ティーとショコラどっちがいいですかー?」なんて聞いてきたり。
 なるほど、日本語を話せるスタッフというのは彼のことなのか! と感心し、しかしショコラというものが何なのか理解できなかったので「ショコラって何で すか?」と訊ねてみたら、「ショコラですねー」と有無を言わさず厨房へ!
 ……そう、彼は日本語を話せるスタッフではなかった! 日本語を話すスタッフだったのだ!

 一方通行日本語おじさんとして、旅行中に出会った珍人物の一人に登録決定。
 エビアンお兄さん、バングラディッシュ兄さん、一方通行日本語おじさん……濃いなぁ。

 ちなみに、ショコラというのはココアの模様。
 一口飲んで、ギンコと2人で妙に納得した。


 さて、朝食を済ませたらいよいよ観光。
 パリに来たからにはまず絶対行かねばならない、ということで、行く先はルーブル美術館。
 路線図もあるし、地下鉄を乗りこなして行ってやるぜ! と意気揚々と出発するのでした。

 ……と思ったら、トラブル。
 地下鉄の駅へと入ろうとしたら、フランスの軍隊のお方がマシンガン武装で立っておられまして、ここから先には行けないとか言ってきました。
 理由はよくわからないけれど……まああれだ、日本に住んでいたらマシンガンなんて普通見ないだろう?
 すぐ退散、マジ怖い。彼らが言うことには別の路線を使ってくれということだったので……理由はわからないけれど、とにかくすぐに別の路線を調べること に。
 こえーマジこえー。

 そんな困難を乗り越えて到着したのが、ルーブル美術館。
 もう地下鉄の駅自体が、全力で美術館モード。舞浜駅から某テーマパークへ行く道といえばわかりやすいのかな。
 大量のモナ・リザが出迎えてくれました。

 さて、チケットを購入していよいよルーブルへ。
 チケット売り場が地下にあったため、地下から進入である。

 あ、そうそう、日本の美術館は撮影禁止とかだったりするけど、ヨーロッパではバンバンOKだったり。
 だから別にこっそり撮ってきたわけじゃないのよ。

 
 テンション上昇。
 いきなり逆ピラミッドがお出迎え!

 そこから、まずは彫刻ゾーンへ……。

 
 カノヴァの「キューピットとプシケ」
 ああ、これどっかで見たことあるよ! とか思って撮った1枚。
 帰ってから調べたらやっぱり有名だった。基礎知識は蓄えるべきだったと思う。
 それにしても綺麗。

 あまり美術に詳しくないのであまり書くことはないけれど、教科書に載っているものが目の前にあるというのは本当に感動モノ。
 あの彫刻もこの絵も有名なんだろうなぁ……と思いながら、でもさらっと一目見て去っていくというのは、ちょっともったいないような気も。
 ただ、一つ一つに敏感に反応していたら、やばいことになる。それぐらい広いのだ。

 さて、裸祭り会場で迷いながらも、大理石の階段を上ったり「サモトラケのニケ」を スルーしたりしながら、続いて向かうのは絵画コーナー。
 ……ちゃんとニケは見てきたよ。ただ、階段の上という結構有名とはいえ意外な場所にあったもので、「サモトラケのニケ」に似ている何か、だと思って写真 を撮り損ねた。
 ばかだねー。

 さて、絵画のコーナーに到着しましたよ……。

 

 でけえええええ!

 驚いた。絵画というのはここまで巨大なものなのか、と。
 写真だとちょっとわかりにくいかもだけど、でかい、とにかくでかいのだ。

 ちなみに、絵は「民衆を導く自由の女神」
 絶対どこかで見たことはあると思う。僕が知っていたぐらいだから。

 
 ちょっと見にくいかも。
 これもまた、かの有名な「ナポレオンの戴冠」……だよね、うん、多分そうだ。

 前に立っている人々と比べてみて、その巨大さがわかると思う。
 絵を描いたことがあるわけではないのでなんとも言えないけれど、もう画家とか言うレベルを遥かに超越しているような……なんというのだろう、言葉に出来 ない凄さ、というものが体全体に伝わってくる感じ。
 まさに、圧倒された。

 それしても、すごい。
 なにがすごいって、建物自体も一つの美術品と呼べるほどの作りなのだ。

 
 奥が見えるだろうか?
 これはもはやラストダンジョンである。ずっと続く廊下に大小さまざまな絵画が飾ってある!
 そしてこの人の量……もう体力がないとやっていけない。
 飛び込んでくる絵の情報量も膨大なのだ。

 
 その中で、ダ・ヴィンチの作品発見!
 「岩窟の聖母」ってやつだ。心奪われるような、そんな感覚に陥るほど美しかったと思う。
 二次元萌えですね(台無し)。

 さて、この無限に続くのではないかと思われる廊下にある、小部屋に入るといよいよあれが待ち構えています。

 
 ……見えねえ!

 すさまじいほどの人の量、そしてすさまじいフラッシュ。
 何があるのか? それはもうみんなわかるはず……。

 
 ……うつらねえ!

 「モナ・リザ」ですね。
 これは見ないといけないね。
 もはや義務だね。

 とにかく人の量がすごいので、カメラを高く掲げて撮影。何枚か撮ったけれど、まともになんて写るわけがない。
 生の「モナ・リザ」に関しては……あまりに人が多かったのでなんとも。ただ、見たときにはなんともいえない満足感と達成感が。
 旅行の目的が一つ達成されているわけだしね。ルーブルに行ったら「モナ・リザ」……これは必須だったと思う。
 やっぱり義務だね。


 さて、絵画コーナーは満喫しまくって、今度は「ミロのヴィーナス」を探しに行きますぞー。

 
 ハァイ、アイアムモアイ。

 ……大英博物館に引き続き、ここでもかっ!
 イースター島のモアイさんは、もう持ち出されまくりなのだな。

 
 魔王の間。
 もはや前が見えん……バーンはどっちだ……。

 ……と後ろを振り返れば。

 
 頭が高い、控えろぉう。

 光の加減で非常に怖い人になってしまったが、「ミロのヴィーナス」本人である。
 新手のオルフェノクではない。

 こっちもやっぱり人気で、周囲は人だかり。おかげで写真撮るのも一苦労……まあなんとかなったけどさーけどさー……。
 もう少しまともな写真が撮れたらよかったのに。


 さて、ここまで来ると、もう歩き回っているし情報量はすごいし人は多いしで精神的体力的に疲れてきたので、昼食をとることに。
 とはいっても、昼食をとる場所も人だらけで大変でしたが。
 ちなみに昼食はサンドイッチ&ポテチ&7UP。何も面白くはない。
 午後の部へ突撃ー!


 
 ハンムラビ法典発見!
 「目には目を……」で有名な、メソポタミア文明のアレですね。というか、ハンムラビ法典まであるのか……驚き。
 ちなみに海ヘビは装備していない。

 
 エジプト的なものもあり。本当に何でもありなルーブル美術館。
 内装は迷路だし、何もかもが美術品だし、とにかく疲れる、疲れるけれど色々と見所は多い。


 けれど、やっぱり午前中頑張りすぎた。
 ミイラとか土器とかもう数多くの展示品を眺め、もう疲れたなーと思ったところで、外に出ることに決定。

 
 空は快晴。
 東京と違って高層ビルが周辺に建っているわけでもなく、空が非常に広く感じた。
 で、かの有名な666枚のガラスを使ったというピラミッド。
 「ダ・ヴィンチ・コード」でこのように紹介されていたけれど、実際は666枚より多いらしい。

 これを見ると、ああこれが生ルーブルかーとか実感が湧いてくる。
 やっぱり観光名所っていうのは一度行ったほうがいい。なんだか色々な達成感が湧いてくるから。

 
 建物中心に。
 日曜日ということもあって、人多かった。仕方ない。

 ここでしばらくまったりとし、帰ることに決定。
 さすがにもう見所……はあるのだろうけれど、さらに魔王城もといルーブル美術館内を見学するのも疲れたしね。


 そんなわけで、ホテルに帰る。
 夕食はもうなんか食べるのも億劫だったので、適当に済ませるかーと駅のパン屋でサンドイッチを購入。
 フランスのサンドイッチって、パンがフランスパンなのだ。
 だから、結構歯ごたえがあって満腹になる。チーズはおいしいしね。

 あとはグミ大好き人間としては、絶対に欠かせないのがハリボー。ヨーロッパはグミがたくさんあって幸せなのですよ。
 で、ちょっと挑戦して、日本では売っていないアソートを買ってみた。色々な味があって楽しそうだなーとか思ったんだよね。

 ……が、それがいけなかった。
 やはりコーラとか、オレンジとか、味が想像できるものを買うべきだったのだ。

 禁断の黒ハリボー事件である。

 黒ハリボー。それは黒色のグミ。
 一口、何気なく口に放り込んだとき、その異変が発生した。

 口の中で、大変不快な味が。
 いや、不快なんて生易しい言葉で表現していいのだろうか。体中でアラートが鳴り響く。これは人間の食べるものじゃない! と!
 吐き出しはしなかったが、もう最悪な味わい。形容するならば……なんだ、ゴム? タイヤ? 石油?
 ちなみにギンコにも食べてもらったが、彼もギブアップ。
 袋の中から漂ってくるその臭いだけで、不快感が全開になるほどの破壊力。

 全力でビニールに包み、ゴミ箱へ。
 あれは果てしなく恐ろしい食べ物である。一つ中にあるだけで、全てのグミが汚染されていく。

 余談だが、私は帰国後、横浜にてその黒ハリボーを発見した。
 だが注意していただきたい。まともな味覚を持つ日本人は、決して食べないように……待ち受けているのは悲劇だけなのだ!
 

 ……さて、テレビでオリンピック情報を確認するも、日本なんて当然映らぬ。
 スポーツ特集なんてのもやっているかわからないので、適当にチャンネルいじっていたら、ロシアで軍隊が動いていてビビッた。
 「ジョージアって何だよ!?」とか、さっぱり理解できなかった自分。ハァーさっぱりさっぱり。

 あとは、ホテルでインターネットが借りられたので(有料だけど)、日本に向けて初めてメールを打ってみた。
 インターネットは偉大だと感じた瞬間である。

 翌日には日本語を話すおじさんのホテルをチェックアウトし、田舎のほうへと出かける予定なのだ。
 体力を回復させねばならない……ということで、やっぱり20時に就寝。やっぱりはえーよ!
8日目 8月 12日 (火) Paris→Rennes→Pontorson−空と雲と草原

 目覚めは良好、体調も良し。
 一方通行おじさんとの「ぼんじゅーる(僕)」「オハヨウゴザイマスー(相手)」という、謎めいた挨拶を交わし、朝食へ。

 先日と全く同じ内容の朝食を済ませると、いよいよチェックアウトし、駅へ。
 この日から、しばらくパリを離れ、ポントルソンという田舎へと向かうのである。
 何故ポントルソンへ向かうのか?
 なぜならば、今回の旅行で僕が最も行きたい場所、モン・サン・ミッシェルがあるからである。これは見ないといけない。
 イギリスのユースホステルで出会ったフランス人の学生たちも、モン・サン・ミッシェルは行くべきだ、と言っていたしね。

 というわけで、フランスの高速列車TGVに乗り、まずはワインで有名なブルターニュ地方の中心都市レンヌへ。
 TGVは、ユーレイルグローバルパスのおかげで無料。これは非常に嬉しい。もちろん事前にお金は払っているけどさ。

 で、レンヌまでは無事到着。時刻表もあったし、これは余裕。
 ただ次が問題で、どの列車に乗ればポントルソンに行けるのか、よくわからなかったりする。
 時刻表にも載っていなく、ポントルソンは小さい駅ということでよくわからない。
 パスがあるとはいえ、特急に乗るためには一度チケットを予約する必要があるし、わからないのでインフォメーションへ行って訊ねてみた。
 だいぶ英語に自信ついていたし、それぐらい簡単だろう、と思っていたのだが……あろうことか英語が通じない。

 相手はフランス語しか話せない!?
 言語が通じない、これほど恐ろしいことがあるだろうか!
 って、まあ大げさだけどさ、チケットセンターに行って訊ねてみたら今度の人はちゃんと通じ、教えてくれました。

 で、結論、チケット予約する必要なし。
 まあ、来た電車に乗れと、そういうことだ。単純でした。

 単純とは言うけれど、実際は緊張しまくりだったけどね……どの電車にどのホームから乗ればいいのか、とか全然わからないし……。
 でもまあ、無事にポントルソンに行く列車には乗れましたよ。


 走れば走るほど、建物はなくなり、草原だけが広がる。
 空と草原の境が遠くに見えるって、日本のしかも都会に生きていたら全然見られないことで、なんかその一つ一つに感動。
 感動である! ファーイ!

 牛とか普通に歩いているんだぜ?
 水車が回っていたり、小川が流れていたり、そんなのどかな田園風景。窓を見ているだけで幸せになれる。

 ……で、無事に到着したポントルソンは、とても観光名所であるモン・サン・ミッシェルがあるとは思えないほどの小さな駅。
 駅も改札なんてないし、一度も切符をチェックされなかった。あれで本当にいいのか?

 
 線路の真ん中から撮ってみた。
 本当に何もない、小さな駅。

 ここで、旅行中始めて日本人学生の男2人組と出会ったり。
 英語でお互いに声かけて、で、そのあとに「日本人ですかー」なんて言葉を交わすのがなんだか滑稽。
 彼らもこの日たどり着き、明日モン・サン・ミッシェルへ行くということ。やっぱり他の日本人も来るんだなーとか思って、少し会話してから別れました。

 ……このときは、彼らが僕らの旅行に大きく関わってくるなんてことは知らずに。


 さて、まずはホテル探し。
 安いホテルはたくさんあるという情報はあったものの、どうやって行けばいいのかはさっぱり。なぜなら地図がないからだ。
 そんなわけで、英語通じるか……そんな不安を抱えながらも、とりあえず駅のおじさんに聞いてみた。

 すると、おじさんは超ハイテンション。
 超なんて言葉を超越した、超超ハイテンション。

 「すみません、このホテルを探しているのですが……」
 「おー! いえーす! よおし、地図を見てくれ! ハハハ、今この駅にいるんだ! ホテルはここさ!」
 「駅を出たら、どっちに行けばいいんですか?」
 「よおーし! わかった! さあ外に出てくれー! ほうら、あそこに屋根が見えるだろう!? あれがそのホテルさー! ハハハー!」

 ……なんて感じの会話。もちろん英語だ。
 おじさんは他の旅行者にも同じレベルのハイテンションで話しかけていた。
 僕らの後に来た旅行者もハイテンションな人で、ものすごく大きな笑い声が田舎町に響いていたり。これが人情なのですね!


 ホテルは簡単に予約成功。
 もう慣れまくりだしね。しかも内装はかなり綺麗。パリのホテルよりも広く綺麗! 値段もそんなに変わらないし、非常に満足。
 ここまで来ると、イギリスのホテルは……いや、何も言うまい。

 さて、ホテルの中で寝るというのももったいない話で、せっかく外がいいところなので、散歩することに。

 
 こんな感じの、本当に何もない町。
 時々車が通る……本当にそれだけで、非常にのんびりした空間でした。
 本気で、この町に住みたいと思ったよ。

 
 ちょっと町を歩くと、もうこんな感じ。ここから10キロぐらい歩いた先に、モン・サン・ミッシェルはあるらしい。
 翌日が待ちきれない!

 ちゃんと大きなスーパーもありました。
 覗いてみると、肉が超巨大だったり、チーズが大量にあったり、不思議な飲料があったりとっても面白い。
 やっぱりワインコーナーは広い。ワインについては詳しくないけれどね。
 面白かったので、コーラブラックなる飲料と、トブラローネというチョコ、あとプリングルスを買ってみたり。
 トブラローネもプリングルスも日本で買えるけどね。

 
 どうも、コーラとコーヒーを組み合わせたという魔飲料。
 意外とおいしかった。妙に癖になる味……っていうのかな。日本なら、ファミレスのドリンクバーで試してみるといいと思うよ。


 ところで、先ほどの写真……とても空が青くて真昼だと思ったかもしれないけれど、実は18時過ぎ。
 22時になっても空が明るいというそんな不思議な町なのだ。夕食はそこらでパンを購入し、適当に食して眠りへ。
 いよいよ、一大イベント、モン・サン・ミッシェルである。
9日目 8月 13日 (水) Mont Saint-Michel−海の上を歩く

 朝食は、ホテルのバイキング。
 とはいっても、パンだけだけどね。いい加減米が食べたくなってくる。

 さて、いよいよ駅からバスに乗ってモン・サン・ミッシェルへと出発である。
 15分少々、ちょっと高そうなホテルとかを横目に道を走っていくと、あたり一面に羊が群がる草原が広がります。

 そしてその草原をくねりながら走る道路を行くと、その先にそびえたつのが……そう、モン・サン・ミッシェルである。

 
 ああ、この感動をなんと表現すればいいのだろう!
 海に囲まれた小島の上に、こんなものが立っているんだ!
 自分らが立っている場所が、駐車場なのでちょっとピンと来ないかもだけど、とにかく幻想的。
 想像を絶する圧倒感に、もう足が震えまくり。よくここまでたどり着いた、俺たちってか!

 聖堂はパワースポットに立てるものだと思うが、まさに見えない力で溢れている……そんな場所だと思いました。
 月に2度、満潮を迎えるらしいけれど、そうすると完全に周囲は海になってしまうとか。すげえ、すごすぎるよ!

 もちろん向かう先は、上にある大聖堂。
 そのために、まず正門から入る……

 
 のはつまらない。

 バスから降りた観光客らは、まず正門に向かうんだ。
 ならば俺らはそれに抗おう、と、海というか砂地というか、いわゆる 引き潮で水がないところを歩く。こういうのなんていうのだろう。
 ……まあいいや。遠くに人が見えると思うけど、結構歩けるわけだし、モン・サン・ミッシェルの島を一周するのも楽しそう。

 そんなわけで、明らかに普通じゃないところを歩いてみた。
 ……いや、そういう人も結構いたよ? 5人ぐらい。


 
 ハハッ! 裏手に回ってやったぜ!

 もうね、誰もいない。
 海風で耳が痛い。寒い、つーか寒い。一応8月だけど、風は強い。

 
 おっし! 上陸できるところ発見!
 と、裏手入り口を発見。明らかに正規ルートではない。

 
 ジャパニーズニンジャをなめるでない。
 よし! ここが入り口だな! 突撃!(絶対違う)

 とまあ、別に問題なくスムーズに中へ入れました。
 案内用マップももらっていないというオバカっぷりを発揮! だが、それも悪くない。

 途中、道を歩いていると先日駅で会った、日本人2人組の1人と出会った。
 どうも友人とはぐれてしまったご様子……大変だなーとか思いながら、ちょっとした情報交換をして別れた。


 
 一番上にある、大聖堂への入り口は大変な列でした。
 ただ、ここに行かないと始まらないわけで、しっかりと並びましたよー。

 
 チケットを買ったら、いよいよ上へ!

 
 振り返ってみるとこんな感じ。
 「ロード・オブ・ザ・リング」みたい!

 
 上にたどり着いて、撮ってみた写真。
 車がたくさんあるのが、最初の写真をとった駐車場。緑色のは羊さんのいる草原。白というか灰色っぽいのは海と砂地。
 奥のほうに、ポントルソンの町があるのだ。地平線なんて生まれて初めて見たかも。

 空と平原との境目なんて、山の多い日本ではとても見られない。
 写真だけでは伝えられないけれど、ぐるっと見渡すと、地球って丸いんだ、なんてそんな当たり前だけど知識でしか理解していないことが実感できる。

 
 下に向かって。
 ちょうど、あの塔があるあたりから、我々は入ったのである。
 人がたくさんいるだろう? やっぱり正規ルートに違いない。

 
 振り返り見れば、そこには聖堂。
 ウズウズした気持ちを抑えきれず、突撃。

 
 まず目に入るのは、巨大なステンドガラスの大聖堂。
 光の差し込み方が神秘的過ぎてハンパない。
 色々と説明している人がいたけれど、全てフランス語で理解できず……。

 
 四角形になっている廊下の中心に、庭があった。
 ずっと石造りの建物の中に自然があるというのが驚き。まさにこれこそ空中庭園。

 
 そこから、どんどん下へと下っていきます。
 聖堂内はこんな感じで薄暗くて肌寒い。なんだかRPGのダンジョンみたい。
 もうこの旅行来てからそればっかりだ!

 で、ここに来て日本人2人組と出会ったり。どうやら2人は無事に再開できたそうな。よかったよかった。
 片方の人が、昨日までいなかった日本人女性を連れていたのが気になったけれど。
 どうも、ここに来て知り合った模様。それで、入り口(裏口)で出会ったときは1人になっていたのですね!

 
 ダンジョンを下り続けると、また空中庭園。なんだかとてもいい雰囲気だったので、ちょっと腰を下ろしてブレイク。
 風も日差しも無茶苦茶気持ちいい。まさに天国。

 
 そうして外へ……下から見上げてみた大聖堂。
 あまりに非現実的な感じがして、自分がファンタジーの世界にいるのではないか、なんて錯覚が起きるぐらい。
 それほどにまですごいパワー。観光客だらけで俗っぽくはあるけどね。

 さて、そうこうしているうちにお昼になったわけで、ランチタイムへ。
 ここまで来て、そこらで適当にサンドイッチなんていうのも寂しいので、「地球の歩き方」に書いてあったオススメ料理をチェックしてみることに。
 どうも、モン・サン・ミッシェルは巨大オムレツというのが名物らしく、「話のタネに食べてみるのもいいだろう」とあったので、レストランを探すためにメ インストリートへ。

 
 すごく……人がいっぱいです……。

 いやあ……恐ろしい。こんな細い道に人がたくさん。このまま上の大聖堂まで人ごみが続きます。
 正門から入らなくてよかったよー。

 ちなみに、周りは土産物屋さんからホテル、レストランまで色々。
 ここに泊まるのも楽しそうだけど、とんでもない夢を見そう。

 そして、良さそうなレストラン発見ー。
 実は、この旅行でまともなレストランに入るの、初めてなんだよね。ピザ屋とかマクドナルドとか、そんなんばかりだ。

 さて、頼むものと言ったら巨大オムレツしかない。
 2人分注文して、興味津々で待機……そのとき、店を見渡してみると、奥で例の日本人2人組+女性1人が、巨大オムレツを食べているのを発見。
 おいおい、どこまで行動がシンクロするんだ。

 それはともかく、待つこと数分、ついに巨大オムレツが運ばれてきましたよー。
 ボーイが巨大な皿にある1つのオムレツを半分に切り分けて、僕らの皿にそれぞれ……乗せる!

 
 すごく……大きいです……!

 って、大きいってレベルじゃねーよこれ!
 上に見えるクリーム状のもの、これは全てメレンゲ的な何か。
 つーか、中はそれだけ。具? そんなもの存在しねぇ。卵白を泡立てて味付けました。まさにそれだけって感じ。
 ここまでシンプルだとさすがに笑いすら起きてくる。

 まあ食べる。うん、うま……くない。
 いわゆる焼いてある部分にコショウ的な何かはかかっているのだが、メレンゲに味はなし。
 メレンゲを大量に食する機会なんてないはずだから想像なんてできないと思うが、もはやそれは苦行。苦しい、腹が苦しい。
 満腹による苦しみというより、奇怪なものを食べているゆえの苦しみというか。

 ギンコは間食したが、僕は途中ギブアップ。
 確かに、「地球の歩き方」にはおいしいとは一言も書いていなかった。マジで話のタネにしかならねぇ!
 3大がっかりメニューですね。


 さて、グロッキー状態でレストランを出たのはいいけれど、これからやることは特にない。
 まったりするのもいいと思ったけど、人が多すぎてとても休めるところがないので、適当に帰ることに。
 バスは1時間に1本ぐらいの間隔でしかないようだし、と駐車場のほうへ行ってみると、急激に天気が悪くなってきた。

 海の天気は変わりやすいとか言うけど、一気に暗くなって強風は吹くわ、雨は降り始めるわで凍えるほど寒い。
 見れば、周りの人々は長袖を着ている。それなのに僕らは日本の8月スタイル、半袖オンリー。
 やばい、寒い、バス来ない、震える、やばい、ととんでもなく辛い耐久レーススタート。

 もう永遠にバスが来ないんじゃないか、と思えるほど長く(実際はそんなに長くないけど)待ち、バスに飛び乗ったときにはもう指とか動かない。
 ヨーロッパは、日本の夏と違ってそんなに暑くない。
 結構長袖を着ている人も多かったし、涼しいんだよね。でも、まさか8月にあんな寒い思いをするとは思わなかった。
 リュックに入れていた、トブラローネが滅茶苦茶おいしい。


 そうして、モン・サン・ミッシェルをあとにするわけだが……なんというのだろう、ちょうど自分たちが見学しているときが快晴でよかったと思う。
 その辺恵まれていた。

 とにかく大きなパワーをもらったことだし、なんともいえない圧倒的な満足感を得たのでありました。
 フランスに行くならば、是非。
10日目 8月 14日 (木) Pontorson→Rennes→Paris− 都会へ、戻る

 モン・サン・ミッシェルのパワーを一身に浴びた翌日は、早朝も早朝、5時半に起床。

 でも実は、それ仕方がない。
 なぜならば、この日はもうパリへと帰らないといけないわけで、ポントルソン→レンヌ→パリという移動をするためには、朝一で出発しないとまずいのだ。
 夜にパリに着くというのは嫌だったしね。ホテルを探し回る、というのが一番嫌なのだ。

 まだ太陽も昇らないうちに、ポントルソン駅でプリングルスをほおばりながら、電車を待っていると、日本人2人組と再開。
 何でこんなにシンクロするのかわからない!
 聞くところによると彼らは、そのままドイツのロマンチック街道へと向かう、とのこと。
 僕らはパリで滞在し、イタリアに行くわけで、旅先は違うけれど、なんか運命じみたものを感じてみたりみなかったり。

 彼らとは、「また会ったら面白いですね」とか冗談を口にしてレンヌで別れた。
 東京に住んでいるわけだし、本当に出会ってもおかしくないんだよね。


 レンヌでパンとエスプレッソというフランス的な朝食をとり、そのままTGVでパリへ直行。
 一度使った路線なので、気楽にパリへと到着。もうこの辺になってくると、鉄道の使い方にも慣れてきたしね。

 さて、パリではやらないといけないことがあったりする。
 これ、実は超重要なんだけど、鉄道の予約とかは行動が制限されるのが嫌、という理由で日本ではしてこなかったんだよね。
 だから、早めにイタリアのヴェネチアまでのチケットを予約しないといけないという。

 実はこのヴェネチア行きが曲者で、パリからの直通電車はほとんどなく、普通は途中のミラノで降りないといけない。
 で、そのミラノからまた新しくチケットを購入しないといけない。
 それらがうまくいかないと、ドイツ観光においていけない場所とかが出来てしまう可能性もあったりなかったり。

 希望としては、寝台列車に乗って夜出発、パリからヴェネツィアまで直通でGO! だったのだが、それはもう満席でアウト。
 色々とどうにかしてヴェネチアまで行ける道を模索するも、どれも4日後だったり、途中よくわからないところで泊まらないといけなかったりと大変。

 時刻表と片言の英語力を発揮!
 ええいこれはどうだ、むしろこっちはどうだ? と色々食いついてみた結果……まあフランスで3泊してからなら、早朝発のミラノ行きに乗れること判明。
 ヴェネチアに一日で着くためには、ミラノに早く着くことが必須だったため、3泊滞在することに。

 ぶっちゃけ、3泊もする必要なんてなかったのだが、これまで過密スケジュールだったので、ここでのんびりするのもいいだろう、ということで決定。

 今後の予定は神のみぞ知る……ということで、開き直って、ミラノ行きの列車が到着するリヨン駅周辺で3泊泊まれるホテル探しを。
 そうしたら、ちょうどいい感じでホテル発見。もうホテル探しに関してはばっちり。
 2ツ星だけど、設備が整っていれば問題はないもんね。

 近くにコンビニも発見したので、そこで2人で2Lペットボトルの7UP購入。
 わずか1日で空にするという中毒っぷりを発揮! うますぎるんだって!

 この旅行初めての酒を購入。ビールうまい。
 あとは、リゾットが非常においしそうだったので、購入。やっぱり米は最高! とかそんな結論に至ってみたり。
 日本人、やっぱり米が好きなんだよね。

 ……ところで、どうしてコンビニなのか?
 理由は簡単。実はそのリヨン、周囲の店がAVショップだったりと、何かと治安がよくなさそうなところなのだ。
 というわけで、夜で歩くのも嫌なので、さっさと就寝。
 本当に健康的だよ!
11日目 8月 15日 (金) Paris− 俗……!

 相変わらず起床時間は早い。
 とりあえず朝はホテルの食堂で、定番となったクロワッサンを食し、オリンピックのクレー射撃すげーとか言いながらゆっくり過ごす。

 今日明日と2日も自由に遊べる時間があるということで、エッフェル塔に行くことに。
 やっぱりエッフェル塔とか、東京に来た観光客が東京タワー見たいのと同じような感じで、見てみたいものだと思うよ!

 で、早速地下鉄を乗りこなしてエッフェル塔へ。
 恐怖映画の話をしながら行動する奇妙な日本人がいたら、それが僕らです。

 ところで、ヨーロッパの地下鉄というのは非常にルーズ。
 というか、日本の地下鉄が時間きつきつでとんでもないというのはあるけれど、案内板はあと3分後と5分後に電車がきます、とか、分わかりやすい表示。
 運転手も制服じゃなくて、スーパー帰りのおばちゃんみたいな格好をした見るからに普通の人が運転しちゃっていたりする。
 面白いよ。

 あとは、バイオリン弾きとかサックス吹きとか色々な人が乗ってくる。
 聴き終わった後にはお金を徴収し始めるので、目を合わせないのが一番。
 でも、そんなフリーダムなのが楽しい。

 さて、エッフェル塔についたのだが……それがどうも、感動が少ない。
 おお、これがエッフェル塔! というよりも、え、これがエッフェル塔? みたいな。

 
 駅から降りて、まず迎えてくれたのがこれ。
 人は多いし、なんか無骨だし……。

 
 真下をくぐって、そこから抜けたあとに見上げてみた。
 うーん……エッフェル塔である。

 観光客の多さと、先日まで行っていた田舎の素晴らしさ、そういったもののせいか、はっきり言ってほとんど感動は覚えなかった。
 ただ、うん、エッフェル塔だ。なんてそんなことを呟く程度。

 ちなみに上ることは出来たみたいだけど、大変混雑していたのとかなり高いので断念。
 お上りさんにもなりたくなかったしね!

 これから先に向かう、凱旋門もちょっと不安に……。

 
 凱旋門!

 こっちはちょっと感動した。道路に囲まれたところにどどんと立っているわけだが、でかい、巨大、すごい。
 人と比べてみればわかると思うけど、本当に巨大なのです。

 上の平らになっているところには上れる様子……入場料は取られるけどね。
 そこで浮かぶのは、どうやってあそこまでいくの、という疑問符。

 そんなわけで……

 
 ぐるり、と回ってみる。
 ちょっと珍しい(?)凱旋門の側面。

 すると、地下道を発見。
 結構交通量の多い道路だし、歩いて渡るとか無理だ。
 ちなみに左奥に見えるのはエッフェル塔。

 で、地下道に入って入り口を発見したけれど、そっちも異常な混雑率。
 しかも高い。
 上ってみたいか……と言われれば、ギンコも僕もそこまで上りたくはなかったので、こっちも上らず。

 やっぱり、モン・サン・ミッシェルを先に見たのがまずかったのか……俗っぽさが全開なんだよね。
 さあ、次はどこに行こうか、ということになって、凱旋門から歩くといったらもう1つしかないだろう?

 そう……パリ市内でいちばん美しいといわれるあの通りですよ……。

 
 だが断る(!?)。

 シャンゼリゼ通り完全無視。

 むしろ我々は有名……かどうかは知らないけれど、憩いの場らしいブローニュの森へと歩を進めた!
 なるべく人が少ないところへ向かって歩く、それが俺らのジャスティスである。
 もう回り誰も人いねぇ。

 2〜3キロぐらい歩いて、ブローニュの森入り口に到着。
 なんだか大変広い自然公園になっているようで、奥には食事できるところもあるらしく、胸躍らせ突撃ー!


 ……と、森の中で迷う。
 いや、奥へ奥へ進めばいいし、困ったら戻ればいいんだけど、地図の縮尺の問題で今自分がどこにいるのかわからなかったり。
 だが我々は歩く! 何故ならそれが俺らのジャスティス! そんな正義捨てちまえ!

 
 池発見!

 人もいない、いるのは大量のハトだけという、都会の喧騒からはすっぱり切り離された空間。
 のんびりとベンチに座って、池を眺めながらまったり。
 これもまた旅行の幸せ……だよね。

 そのまま進むと、小さな売店を発見。
 周りで食事している人もいたので、僕らもそこでホットドッグを購入。
 ホットドッグというと、パンは柔らかいというのが日本人にとっては一般的だけど、そこはフランス。フランスパンにはさんでありました。
 注文してから、鉄板でソーセージを焼いてもらい、レタスとトマトをはさんだ焼きたてのホットドッグにHP回復。

 マジ、うめぇ。
 全然お金をかけずにここまで楽しめるのだ。ユーロが高い(当時、1ユーロ=170円)から仕方ない。


 食後はお店の人に、最寄の地下鉄の駅を教えてもらい、無事に森を抜けました。
 フランス語しか話せない人だったので、地図を見せて身振り手振り。何とか通じるものだ。

 ……あとからこの森の情報を調べてみたら、どうもアッー!な公園 だったご様子。
 むしろ、聖地だとか。今でも。
 尻が無事でよかった。まことによかった。日本に帰ってから青ざてめる。


 ホテルに帰ったときにはもう夕方。
 夕食のことも考えないといけない……ということで、やっぱりコンビニへ。
 向こうでコンビニって結構貴重なんですよ。日本みたいにそう何件もたっているわけじゃない。

 7UPをまた2L購入し、非常に興味を持ったので寿司を買ってみた。
 割り箸の袋に、箸の使い方が書いてあったりして面白い。フォークをつけてくれた店員さんも面白い。

 寿司は、サーモンとかっぱ巻きオンリー。やっぱり生魚だと売れないのかな。
 だが、一番気になったのは商品名である。その名も「BIO SUSHI」

 ……バイオスシ!

 どうしてだろう、FFの魔法とか某ホラーゲームのせいでしょうか、僕の感覚から言うとバイオって、食品につけるネーミングじゃないと思うのだが。
 いや、でも味はまあまあ良好。あまり何度も食べたくはないけどね。

 すっかり7UP中毒になりながら、その日はあとはPSPやったりとまったりして終了。
 翌日いよいよフランス最終日ですよ。
12日目 8月 16日 (土) Pontorson→Rennes→Paris− 都会へ、戻る

 フランス最終日ということで、この日は今まで見ていなかったフランスのショッピングなんてものを楽しんでみようか、という方向で出発。
 なにぶん学生の貧乏旅行&ユーロ高騰という要因のせいで、ショッピングを楽しもう、なんてそんなことできないのですよ。

 ただ、やっぱりせっかく来たんだから……見てみたいじゃないか! 自然を歩き回るのもいいけど!


 というわけで、やってきました。

 
 最高裁判所。

 えええ!? とかいう声が聞こえたらちょっと満足。
 いや、もうこんなパターンばかりだよね。自分たちだってどこに向かっているのかさっぱりなときがあるんだよ!

 
 大事なのは、最高裁判所ではなく、こっち。
 ノートルダムの鐘で有名なノートルダム大聖堂です。

 やっぱり観光客でごった返していたけれど、ここのステンドガラスは必見、とあったので、もう見るしかないと思って来ることに。
 異常に長い列が出来ていたけれど、気にせず並んで中へ……中へ……。

 ……と思っていたら、そのときちょうど鐘が鳴りました。
 映画のタイトルになるだけはあって、大変綺麗な音色。
 どう表現したらいいのかわからないので、1500ジャイアンボイスと言っておこう(意味不明)。

 さて、中の写真は……残念ながら撮影禁止。
 自分の脳内をここにさらけ出せばその美しさは表現できるのだろうけど……まああれだ、こんなもの見たことねえ! それが感想。
 見上げていると、自分が吸い込まれていくような。自分はここにいるはずなのに浮いているのではないか、とかそんな感覚に陥ったり。
 やっぱりパワースポットなんだろうね。元気が出るというか、よくわからない力が湧いてきたよ。

 
 せっかくなので、横に回ってみて鐘を撮影。

 建築様式には全く詳しくないけれど、こうした一つ一つの形が芸術品なんだと思う。心奪われるよ。

 ちなみに、このとき長蛇の列の人々相手にパフォーマンスをしている人がいたのだが、その人に抱きつかれた。
 なんだかこの旅行、男相手にホイホイ誘われることが多すぎる!

 
 さて、ところ変わって、かの有名なコンコルド広場に到着。
 奥に見えるのがエッフェル塔。ここからシャンゼリゼ通りを歩きます。

 
 広さに圧巻。
 そして綺麗!

 なるほどこれがシャンゼリゼ通りか……とモロに納得してしまった。
 確かに美しい通りだと思う。車の通りもそんなに多くなく、散歩もしやすいと思うよ……日差しが辛いけど。

 この通りをずっとずっとまっすぐ行くと、ブティックやらデパートやら映画館やらレストランやらが立ち並ぶようになります。
 美しい並木通りのシャンゼリゼはこの写真に写っている範囲ぐらい。まあ、結構歩いたけどね。


 さて、デパートに着いたということで早速、色々と見学することに。
 日本のアニメやマンガがどれだけ浸透しているかも気になったしね。
 イギリスではなかったけれど、フランスはどうだろうか……。

 っと、1フロア全てマンガというすんげーところ発見!
 「ドラゴンボール」「ワンピース」を初めとし、「あずまんが大王」とか「最終兵器彼女」とか、ああもう、とにかくたくさん並んでいる。
 日本と違ってカバーもかかっていないので、老若男女結構幅広い世代の人が、店の中にあるコーヒーショップでコーヒーを買って、本屋内の椅子に座りマンガ を読んでいたのが印象的。
 最近、日本でもこういう形式の本屋さん見かけるようになってきたけど、マンガに関してはないかなー。

 フランスだと、マンガは1冊が高い様子。
 1ユーロを100円感覚で使っているようだけど、1冊5〜6ユーロするからね。

 なるほど、立ち読み(座り読み?)も納得。


 あとはDVDでも日本のアニメを発見。
 ジブリもそうだけど、「涼宮ハルヒの憂鬱」とか「リリカルなのは」を見つけたときには、こういう文化が国境を越えているということを実感。
 ちなみにハルヒは向こうでもすごい人気。アニメ雑誌でも高評価だったしね。

 ラルクの記事も発見。ちょうど世界ツアーをやっていたときなので。
 しかし、「鋼の錬金術師」の主題歌で有名なラルクと紹介されていたのには笑うしかなかった。

 印象的なのは、「OTAKU NO NATSU!」と、コミケが紹介されていたこと。
 ひょっとして日本人は全世界に恥を発信しているのではないか?
 とりあえず、フランス人とは仲良くやっていけると思った。


 そんなこんなで、デパートを満喫した後は、遅めのランチと夕食にサラダを購入して、ホテルでまったりすることに。
 のんびりするとはいえ、結構行動量は多かったし、少しぐらいのんびりしてもバチは当たるまい。

 3本目の7UPを消費し、本当にのんべんだらり。
 翌日からは連日に渡る移動の旅が再開するわけで、緊張感ピリピリになるのだ。

 サラダの量に対して明らかに少ないドレッシングにがっかりしながら、もふもふと大量の味のない豆と格闘し、就寝。
 3大がっかりメニューですね。


 いや……フランスの日記がなんだか縦に非常に長くなってしまった。
 一番濃密なのだから仕方がないか……続いて、イタリア編スタートですよー。

戻る

HOME